債権回収(02 解決実績の例)

債権回収(02 解決実績の例)

【目次】

01 概要

02 解決実績の例 ※ ご覧のページです

・相談を経て毅然と対応

・通知書一通で支払

・相続人に対する請求

・契約書等がない中で資料を精査しながら訴訟

・集合債権譲渡担保で取引先破綻でも7割以上回収

・宅建業者の弁済業務保証金分担金からの一部回収

・こちらが私的整理となったが各売掛先から回収

・預貯金の複数回の調査や差押えで回収

・うまく行かなかった例も

03 法律相談から解決までのポイント

04 やや例外的な解決方法

【解決実績の例】

実際の解決実績を基にしていますが、特定できないよう、事例の一部を適宜改変しています

また、解決できることを殊更に保証・強調するものではありません

・相談を経て毅然と対応

当事者や債権の属性 食品製造業者、食品卸売業者、商品売買代金

回収金額 数十万円

解決方法 ご自身で交渉した

解決期間 1週間程度(相談から回収まで)

解決費用 無料(初回相談のみ)

ポイント 弁護士に相談して交渉材料を見極めたうえで毅然と交渉した

ご相談企業様(食品製造業者)は、取引先(食品卸売業者)から、「いずれ支払う」と言われながらも商品代金をなかなか支払ってもらえなかったところ、年末商戦を控え、再度、口頭で注文を受けてしまいました

しかしながら、その後も未だに直近数か月間の商品代金の半分程度が未払いの状態で、以前の分も今回の分も商品代金の支払に大きな不安がありました

そこで、ご相談企業者様は、弁護士である私へ、どうしたらよいか、ご相談に来られました

弁護士「『直ちに支払がないなら今後一切納品しない』という手紙を出すべき」

ご相談企業様「商品は、もうほとんど完成していて、明後日にでも納品しなければ無駄になる」

弁護士「汗水たらして作った商品を今度もただ同然で持っていかれてもいいんですか?」

ご相談企業様「……」

弁護士「依頼されれば私が卸へそのように伝えてもよいですが」

ご相談企業様「さすがに悔しいので自分で伝えてみます」

なお、厳密には、今回の分の商品売買契約について、契約が既に成立している以上、期限までに商品を引き渡さない場合、債務不履行に基づく損害賠償責任を問われる可能性は一応ありました

もっとも、今回の分の商品売買契約について、契約締結はほぼ口頭によるもので契約内容に未確定・不明確な部分があり、契約締結に先立って以前の分の商品代金をいずれ支払うとのやりとりもあり、以前の分の商品代金の支払(または今回の分の商品代金の支払)と今回の分の商品の引渡しは同時履行であると合意したと主張することや、いわゆる不安の抗弁(※)を主張することで、債務不履行とならないことも十分に考えられました

また、もし仮に今回の分で損害賠償責任が発生するとしても、今回の分の損害賠償責任と以前の分の商品代金と対当額で相殺すると主張することも可能であると考えられました

そして、取引先(食品卸売業者)も販売先(食品小売業者)へ期限までに商品を引き渡す必要性が高いことから、交渉に応じるのではないかと考えられました

そこで、厳密には、損害賠償責任を問われる可能性があることと、それに対する反論も十分に考えられることもお伝えしたうえで、毅然と交渉されてはどうかとお伝えしました

※ 不安の抗弁・・・

後に履行すべき者(例えば買主)の財産状態が、契約締結の後に悪化したときには、先履行義務者(例えば売主)が、自己の先履行を拒絶しうるという法理

民法等の明文の根拠はないが、信義則等を理由に認める学説や裁判例(東京地判平成2年12月20日(判タ757号202頁・判時1389号79頁)等)がある

もっとも、その要件は比較的厳格であり、継続的取引関係にあること、支払能力に不安がある客観的状況があること等が要求され、その効果も履行拒絶に限定される

そのため、予め、契約書等に不安の抗弁を具体的に規定しておくことが望ましい

ご相談後、ご相談企業様は、自ら取引先へ、即座に「直ちに支払がないなら今後一切納品しない」という手紙を送りました

すると、取引先はからご相談企業様へ連絡があり、直ちに以前の分の売掛金が支払われたうえ、今回の分の売掛金も適切に支払う旨の書面も届きました

・通知書一通で支払

当事者や債権の属性 調査会社、施行業者、調査請負代金

回収金額 約100万円

解決方法 弁護士が弁護士名義で取引先へ内容証明郵便を送付した

解決期間 1週間程度(相談から回収まで)

解決費用 文書作成料1万円+税×数通(顧問契約あり)

ポイント 顧問契約を活用した

ご相談企業様(調査会社)は、複数の取引先(施工業者)から、環境測定等の調査業務を受注して調査結果を報告していましたが、支払を受けられませんでした

そこで、ご相談企業様は、弁護士である私へ、弁護士名義の請求書のみの発送を依頼して、弁護士から、複数の取引先へ、それぞれ、請求書を発送しました

すると、取引先のうちの1社は、ご相談企業様へ、直ちに未払いだった売掛金約100万円を支払いました

なお、このご相談企業様と弁護士である私は、以前から顧問契約を締結していたため、請求に必要な契約書等の資料を準備して、請求書1通につき1万円+税を支払っただけで解決できました

・相続人に対する請求

当事者や債権の属性 不動産業者(法人)、同業者(個人・死去)、立替金

回収金額 約100万円

解決方法 調査のうえ、弁護士から相続人へ支払うよう交渉した

解決期間 1か月間程度(相談から回収まで)

解決費用 着手金10万円+税、報酬金約16万円+税(顧問契約あり)

ポイント 顧問契約を活用した

ご相談企業様(不動産業者・法人)は、同業者(不動産業者・個人)へ、数年以上前に、支払等の一部を複数回立替払いしたことがあり、その際、返済する旨の念書も作成されていましたが、結局、特に返済がなされないまま、連絡がつかなくなりました

そのため、ご相談者様の決算書に未収金として相当額が計上されたままとなっていました

その後、このご相談企業様と弁護士である私は、顧問契約を締結した際、ご相談企業様が顧問税理士から決算書に相当額の未収金が計上されたままであるのは、ご相談者企業様が銀行からよろしくない印象を受ける可能性があるとアドバイスを受けたとのことでした

そこで、一度調査したうえで、きちんと解決しておくことになりました

そこで、調査したところ、同業者(個人事業主)が最近死去したことや、一部の立替払いについて5年間の商事消滅時効が成立している可能性が高いことがわかりましたが、同業者の自宅の不動産登記によれば既に自宅に相続登記がなされていることもわかりました

そこで、このご相談企業様は、弁護士である私、へ正式に交渉を依頼して、弁護士から、同業者の相続人へ、請求書を送付しました

当初、相続人は、弁護士である私へ、自分も相続放棄をする等と述べましたが、既に自宅に相続登記がなされていたことから、相続放棄はできないことを伝えました

すると、相続人も別の弁護士に依頼して、弁護士間で交渉することになりましたが、結局、商事消滅時効が成立していない立替払いについて元本全額を一括で支払うことに合意して、実際に支払がなされました

・契約書等がない中で資料を精査しながら訴訟

当事者や債権の属性 制作会社、元請業者、下請代金

回収金額 数百万円

解決方法 訴訟で資料や経緯を丁寧に主張して和解した

解決期間 1年6か月間程度(相談から回収まで)

解決費用 着手金30万円+税、報酬金約40万円+税、実費約10万円

ポイント 契約書等の資料が不十分な中で解決した

ご相談企業様(制作会社)は、取引先(元請業者)から、複数回にわたり、製品の企画制作の下請を受けましたが、その都度、契約書等を交わすよう求めたものの、契約書等の調印を引き延ばされ続けました

ご相談企業様は、取引先へ、製品の大半を企画制作して納品しましたが、取引先は、ご相談企業様へ、その代金の一部しか支払わず、納品後はそもそも正式に契約書を交わしていない等の理由で支払を拒否しました

そこで、ご相談企業様は弁護士である私へ相談して、交渉や訴訟を依頼しました

しかしながら、交渉段階では誠実な回答が得られなかったため訴訟を提起しました

訴訟を遂行しながら、弁護士にて、ご相談企業様と取引先の間でそれまでにやりとりした電子メール等を精査して、仕事を下請けした旨、成果物を受領した旨、いずれは代金を支払う旨等が記載された電子メールを抽出して、弁護士から裁判所へ証拠として提出しました

すると、裁判所から双方弁護士へ和解が打診されるに至り、請求額の約7割を支払う旨の和解が成立して、実際に支払もなされました

・集合債権譲渡担保で取引先破綻でも7割以上回収

当事者や債権の属性 食品原料業者、食品製造業者、原材料売買代金

回収金額 1000万円弱

解決方法 事前に集合債権譲渡担保を設定して、破綻の際に迅速実行した

解決期間 数か月間程度(実行から回収まで)

解決費用 着手金10万円+税、報酬金約100万円+税、実費約10万円

ポイント 対象債権について丁寧に設定した

ご相談企業様(食品原料業者)は、取引先(食品製造業者)へ、継続的に原料を供給していましたが、ご相談企業様が取引先に代金支払に不安を感じるようになりました

そこで、ご相談企業様は弁護士である私へ相談して、ご相談企業様と取引先の間で集合債権譲渡担保契約を締結することになりました

具体的に言えば、取引先の複数の販売先(食品小売業者)に対する債権を列挙させて、それぞれについて集合債権譲渡担保を設定する旨の登記をしました

その数か月後、取引先は裁判所へ民事再生を申し立てましたが、ご相談企業様の担当者が弁護士へ即座にその旨を連絡したため、弁護士から取引先の複数の販売先に対して実行通知を送付するとともに電話を架けたことで、大半の販売先が、ご相談企業様へ、取引先の複数の販売先(食品小売業者)に対する債権を支払ってきました

その結果、ご相談企業様は、取引先の民事再生の申立てにもかかわらず、販売先から、請求額の7割以上を回収することができました

・宅建業者の弁済業務保証金分担金からの一部回収

当事者や債権の属性 個人、宅建業者等、弁済業務保証金分担金

回収金額 約60万円

解決方法 迅速に仮差押えを申し立てたうえ、勝訴して、強制執行に移行した

解決期間 6か月間程度(相談から回収まで)

解決費用 着手金30万円+税、報酬金約5万円+税、実費約10万円

ポイント 僅かな資産を何とか見つけ出して仮差押えをした

ご相談者様(個人)は相手方ら(宅建業者や個人)から数百万円の投資詐欺に遭いました

そこで、ご相談者様は弁護士である私へ解決を依頼しました

事前に相手方らの所在や資産を調査するなかで、官報によれば相手方のうちの宅建業者が保証協会へ弁済業務保証金分担金を供託しているようでしたので、60万円と少額ではあったものの、他に資産も見当たらなかったため、仮差押を申し立てました

無事、仮差押命令を得た後、訴訟提起しましたが、応答がなかったため、勝訴判決を得て、仮差押済みだった弁済業務保証金分担金を本差押して、回収しました

なお、弁護士会照会で他の資産がないか調査しましたが、特に見当たりませんでした

また、他の相手方(個人)について刑事告訴したりしましたが、結局、破産されてしまい、免責不許可に追い込みましたが、現実に資産を保有している様子はなかったため、最終的に回収を断念しました

・こちらが私的整理となったが各売掛先から回収

当事者や債権の属性 製造業者、小売業者、売掛金

回収金額 1000万円以上

解決方法 多数の売掛金と根気強く交渉・訴訟などした

解決期間 数か月間~1年間程度(相談から回収まで)

債務者であるご相談企業様(製造業者)は、債権者である材料業者等へ、資力不足により支払を停止して廃業せざるを得ない状態となりました

もっとも、ご相談企業様は、弁護士と協議したうえで、在庫商品売却や売掛金回収を進めることで相当額(配当率数十%)を配当することができることや、債権者の方針への理解が見込まれたため、破産ではなく任意整理(私的整理)を選択することにしました

そのため、ご相談企業様(製造業者)は、弁護士である私へ、ご相談企業様の多数の取引先(小売業者)に対する売掛金の債権回収を依頼しました

多数の伝票を整理・集計したうえで、弁護士から多数の取引先へ請求書を送付しましたが、一部の取引先から、弁護士へ、取引先が顧客へ販売する際に返品不可・交換不可になるので、代金の支払は一切できないとの主張がなされたため、訴訟になりました

結局、そのような商慣習があると認定する根拠もなかったため、代金の7割程度を支払う旨の和解が成立して、大半を回収しました

・預貯金の複数回の調査や差押えで回収

当事者や債権の属性 個人、法人、預貯金

回収金額 数百万円

解決方法 迅速に仮差押えを申し立てたうえ、複数回、資産調査や強制執行を実施した

解決期間 2年間程度(相談から回収まで)

解決費用 着手金30万円+税、報酬金約30万円+税、実費約数十万円

ポイント 粘り強く資産調査や強制執行を実施した

ご相談者様(個人)は相手方ら(法人や代表者個人)から数百万円の投資詐欺に遭いました

そこで、ご相談者様は弁護士である私へ解決を依頼しました

事前に発覚していた相手方ら名義の預貯金を仮差押したものの、十数万円程度と少額しかなく、その後、訴訟提起した結果、仮差押部分について回収したうえで、数万円ずつ分割払いする旨の訴訟上の和解が成立しました

もっとも、訴訟上の和解どおりの支払が全くなかったため、弁護士会照会で口座を調査したところ、別途、数百万円の預貯金があることが判明したため、強制執行を申し立てました

しかし、実際の差押え時点では残高が数万円しかありませんでしたので、速やかに差押えを取り下げました

数か月後、再度、弁護士会照会で同じ口座を調査したところ、やはり数百万円の預貯金があることが判明したため、急いで再度差押えを申し立てたところ、今度は残高が数百万円残っていたため、全額回収となりました

・うまく行かなかった例も

当事者や債権の属性 機械製造業者、畜産業者、商品売買代金

回収金額 0円

解決方法 事前に集合動産譲渡担保の設定を検討したが、実現には至らなかった

解決期間 解決せず

ご相談企業様(機械製造業者)は、取引先(畜産業者)へ、機械を販売していましたが、ご相談企業様が取引先に代金の分割払いに不安を感じるようになりました

そこで、ご相談企業様は弁護士である私へ相談して、ご相談企業様と取引先の間で集合動産譲渡担保契約を締結することを検討しました

しかしながら、目的物(対象動産)が家畜(水棲生物)で場所も遠方の海上であったため、種類・場所・量的範囲等を特定することが容易ではなかったうえ、仮に集合動産譲渡担保を設定しても、普段から目的物(対象動産)の管理をしなければいけないし、集合動産譲渡担保を実行する際に動産引渡断行仮処分を申し立てるだけでなく、実際に遠方の海上から陸上へ対象動産である家畜(水棲生物)を速やかに運搬・保管したうえで換価することができるのかという疑問があり、実現には至りませんでした

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