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この記事は2019年12月に配布した顧問企業法務通信から抜粋したものです。
本年も、ご相談、ご活用いただきまして、ありがとうございました。
今回は、前回から少し間が空いてしまいましたが、費用対効果を意識した債権回収について、書かせていただきました。
中小企業の取引先に対する売掛金や、中小企業の元従業員や元関係者に対する貸付金や損害金について、電話をかけたり手紙を出したりしてみたが未回収のままとなっているということは、すくなくないようです。
特に債権額があまり大きくない場合、回収できるかわからないのにお金や時間や手間をかけてまで債権回収に取り組むべきか考えているうちに、ついつい先送りにしてしまいがちです。
今年1年をふりかえるなかで、もし未回収の売掛金等の問題を思い出したようでしたら、ご参考にしていただけると幸いです。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
【1 費用対効果を意識した債権回収】
債権額に応じて債権回収の方法を使い分けましょう
(債権回収と費用対効果)
(正式に交渉や訴訟等を依頼する場合の費用対効果)
(弁護士名での内容証明郵便の発送のみを依頼する場合の費用対効果)
(弁護士是枝の顧問先企業様への取組)
【2 債権回収に関する留意事項】
債権回収に関して知っておきたいことを簡単にまとめました
(未回収の予防をどうするか)
(その他の留意事項・特にファクタリング業者にご注意ください)
【1 費用対効果を意識した債権回収】
債権額に応じて債権回収の方法を使い分けましょう
(債権回収と費用対効果)
予算や期限を決めて取り組むとよいでしょう
中小企業の取引先に対する売掛金や、中小企業の元従業員や元関係者に対する貸付金や損害金について、電話をかけたり手紙を出したりしてみたが未回収のままとなっているということは、すくなくないようです。
特に債権額があまり大きくない場合、回収できるかわからないのにお金や時間や手間をかけてまで債権回収に取り組むべきか考えているうちに、ついつい先送りにしてしまいがちです。
そこで、できるかぎり早い段階で、予算や期限を決めて取り組むとよいと思います。
例えば、予算:債権額の5%、期間:支払停止後の1年間等です。
例えば、債権額が100万円以下であれば予算は5万円にして、支払停止後1年間以内に弁済がなければ損金処理できるかもしれません。
以下、あくまで個人的な経験上の試算になりますが、企業が、弁護士へ、正式に交渉や訴訟等を依頼する場合と、弁護士名での内容証明郵便の発送のみを依頼する場合で、費用対効果を比較検討してみたいと思います。
(正式に交渉や訴訟等を依頼する場合の費用対効果)
債権額が100万円以下の場合、費用対効果は、あまり期待できません
債権額が100万円以下の場合、予算の一例としては、次のとおりです。
着手金 10万円+税(一般的な最低着手金)
実 費 3~10万円程度(訴訟印紙代、調査費用や執行費用等)
報酬金 回収額の16%+税(一般的な報酬金)
仮に100万円全額を回収できたら60~70万円程度の黒字です。
仮に1円も回収できなくても15~25万円程度の赤字となります。
なお、期間は、早ければ3か月以内ですが、長引けば1年以上です。
事案(取引内容や支払能力等)に大きく左右されますので、粗雑な試算ではありますが、仮に回収率を50%とした場合、期待収支は50万円-30万円程度=20万円程度となり、実際には費用倒れとなる可能性もあります。
(弁護士名での内容証明郵便の発送のみを依頼する場合の費用対効果)
債権額が数十万円である等高額でない場合、検討してみても良いでしょう
原則として債権額に関係なく、予算としては、次のとおりです。
手数料 3万円+税(内容や弁護士によっては5万円+税も)
なお、依頼から発送までの期間は数日~2週間程度だと思います。
もちろん、弁護士が取引先へ弁護士名での内容証明郵便を発送したからと言って、支払がなされるとは限りませんし、支払がなされるかどうかは取引先が企業へ売掛金等の支払をしない理由や原因にもよると思います。
また、弁護士が代理人として取引先と交渉するわけではありません。
もっとも、あくまで個人的な経験上の印象ですが、企業が弁護士へ資料や経緯等を説明してある程度適正な取引であることが確認できたものであれば、弁護士が取引先へ弁護士名での内容証明郵便を発送した場合、2~3割程度の確率で速やかに全額または大半の支払に応じるのではないかと思います。
そのため、あくまで個人的な経験上の試算ですが、期待収支としては3万円+税程度の費用で100万円×2~3割=20~30万円を回収することができるかもしれないという期待収支となり、最高でほぼ全額の黒字となり、最悪で3万円+税程度の赤字となり、費用対効果を一定程度期待できます。
また、弁護士名での内容証明郵便を発送しても支払がなされなかった場合、その後、弁護士が代理人として取引先と交渉することは含まれていないため、弁護士として力を尽くしたわけではありませんが、企業が支払う費用が増加することもありませんので、比較的安心して依頼できると思います。
(弁護士是枝の顧問先企業様への取組)
継続的に顧問契約をご継続していただいている場合のサービス
弁護士名での内容証明郵便の発送につき、通常1通3万円+税以上ですが、顧問先企業様と弁護士是枝との間で継続的に顧問契約をご継続していただいている場合、協議したうえで、一定通数までは、サービスとして1通0円~1万円+税程度で対応させていただいております。
上記サービスにて、複数の顧問先企業様が、一部の取引先や関係者から、早期に数十万円の売掛金や貸付金を回収できたケースもあります。
ただし、上記サービスには弁護士が代理人として取引先と交渉することは原則として含まれておりませんので、ご了承ください。
また、丸投げはお受けできませんので、適切に対応するための前提として、顧問先企業様から弁護士是枝へできるかぎり取引内容に関する資料の開示や経緯の説明をしていただくよう、お願いしております。
【2 債権回収に関する留意事項】
債権回収に関して知っておきたいことを簡単にまとめました
(未回収の予防をどうするか)
支払遅滞を牽制・対抗するためには契約書類の整備が重要です
取引先が、複数ある各支払先のうちの一部の企業へのみ、売掛金等を期限までに支払わなかったとしたら、それはなぜでしょうか。
取引先と企業との間に一定の取引上の力関係・優劣関係がある場合、取引先としては、当該企業に対し、契約書類に不備があることを理由に、取引先に都合のよい支払条件を主張したり、当該企業の業務内容に不当なクレームを付けたりして、支払の遅れを正当化することがあります。
当該企業が取引先へ牽制・対抗するためには、事前に業務内容や支払条件や変更について具体的に記載した契約書類を交わしておくことが重要です。
実際には、契約書類の整備について、目の前の業務に既に締切があり待てないとか、作成方法がわからないとか、取引上の力関係があり要望できないとか、いろいろと事情もあると思いますので、お早目にご相談いただければ、現実的な観点を踏まえつつ、対応を協議検討することができると思います。
(その他の留意事項・特にファクタリング業者にご注意ください)
担保権の設定と破産
事前に、抵当権、集合債権譲渡担保、所有権留保等を適正に設定管理実行することで、取引先が破産しても企業が売掛金を回収できることがあります。
詳しく知りたい方は弁護士是枝までご連絡ください。
民法改正による消滅時効に関する見直し
令和2年4月から基本的に「5年間」に統一されます
「下請けかけこみ寺」
下請取引については中小企業庁による支援事業があります。
違法な債権譲渡業者・ファクタリング業者にご注意ください
資金繰りに困窮している中小企業の経営者を狙い、貸金業登録のない業者が、債権譲渡やファクタリングを偽装して、割引率や手数料等の名目で利息制限法に違反する実質的に極めて高い利息を取得していることがあります。
利用すると企業の取引先への信用も低下しかねませんのでご注意ください。