2021年の顧問相談の概要

法律相談予約専用 TEL 070-5483-9947

この記事は2021年11月に配布した顧問企業法務通信から抜粋したものです。

いつもご相談ありがとうございます。

今年も早いものであと1か月半程度を残すところとなりました。
今年の気がかりやお困りごとについてご相談になれたでしょうか。
お仕事が忙しかったり、ご相談に慣れていなかったりして、なかなかご相談に至っていない方も、いらっしゃることと思います。

今回は2021年に顧問先企業様から弁護士是枝秀幸へご相談いただいた概要について、守秘義務の観点から抽象化したうえで、まとめてみました。
今年のうちにとりあえず聞いておきたいことがなかったか、思い起こす参考としていただき、顧問契約を有効活用していただけると嬉しいです。

顧問先企業様から弁護士是枝秀幸へのご相談は電話やメールでもお受けしています。
日時等は気にせず、思い立ったときにご連絡ください。
(見落としの可能性があるのでできれば電話がよいと思います)

【1 2021年の顧問相談の概要】 紛争予防段階でも相談できます

【2 2021年のご相談の事例】 契約書チェックにおいて指摘した条項を中心に、一部紹介します

※ 当然ながら、事例は守秘義務の観点から抽象化しています

【1 2021年の顧問相談の概要】

紛争予防段階でも相談できます

(顧問相談全体における【場面毎】の相談件数の割合)

・(紛争予防段階)小計41%

契約書関係のリーガルチェック・修正提案や文案作成 27%

新規事業(商品・サービス)のリーガルチェック 9%

組織体制(株主・役員・企業統治)のリーガルチェック 5%

・(紛争発生段階またはそれが懸念される段階)小計59%

労働 14%

債権回収 5%

取引に関連する紛争・トラブル 41%

(内訳……商品売買2%、業務委託6%、不動産(売買賃貸管理)・工事17%、IT2%、その他(事業譲渡、個人情報、暴排)8%)

なお、上記に含めていないものとしてプライベート・プラクティス(従業員等の個人的なトラブル(相続、交通事故等)の相談)もあります

上記からわかることは、顧問相談において紛争予防段階でも多く相談されており、その結果、紛争発生を抑止している可能性がある、ということです

(契約書のチェック)

特に契約書のチェックは、以下にあたる場合こそ、ご相談を推奨します

弁護士の審査にて、迅速かつ適正水準にて検討します

① 今回は通常よりも取引金額が高額である

② 売買と請負の混合契約となっている等、非定型的な内容である

③ 書式を使用しているが、特約条項で大幅に修正している

④ 実際の取引内容と契約書の記載内容の間に、大幅なズレがありそう

⑤ 売主・買主等の立場が普段と逆になるが、そのまま使おうとしている

⑥ 自社が中小で相手が大手なので、自社から相手へ文句が言えない

(労働に関する相談)

労働に関する相談は、行動に移す前の段階こそ、ご相談を推奨します

紛争になると見通しが悪くなるため、行動に移す前にご相談いただき、紛争にならないように配慮しながら解決することを目指すべきです

特に、事前準備なしの解雇や退職勧奨は、できるかぎり避けましょう

【2 2021年のご相談の事例】

契約書チェックにおいて指摘した条項を中心に、一部紹介します

※ 当然ながら、事例は守秘義務の観点から抽象化しています

(商品売買)

・売買取引基本契約書における個別契約の成立時期

売買取引基本契約書は、個別契約に共通して適用される基本的な取引条件を定めるものであり、個別契約の成立時期についても規定することが通常です

何も規定しなければ、商法509条2項により、一方が売買を申し込めば、他方が売買を承諾しなくとも、売買が成立する可能性があります

売買取引基本契約書において、個別契約の成立時期について明確に規定することで、後日、個別契約の成否等を巡る紛争を予防することができます

(ご相談の中には、契約書を交わさずに電話やメール等だけでやりとりしていたため、買い側は正式に発注したつもりがないのに、売り側が正式に受注したと理解して、仕入れ済みの商品の取り扱いについてトラブルとなったという事例もあります)

・手付金の取り扱い

商品売買契約締結時に代金全額に満たない金銭を授受することがありますが、それが申込証拠金か、代金の一部(頭金)か、手付金か、書面で明確に記載しておかないと、買主が売買契約解除を希望されて売主がそれに応じる場合、手付金として没収して返金を拒否するということが難しくなります

・薬機法等の法的規制が厳しい物品の売買に関する条項

薬機法等の法的規制が厳しい物品は、代金支払や商品引渡が無事完了しても、後日、もし商品が法的規制に違反していることが判明した場合や売主等の業者が警察等に検挙された場合、現実的に買主は一般消費者へ商品を小売することが困難になりますので、事前に解除事由を追加しておく必要があります

・再販売価格規制や転売制限等と独占禁止法

売買契約において、売主として要望したり買主として要望されたりする事項として、商品ブランド維持を目的として、小売価格を一定金額以上としたり、通信販売や二次卸し販売を制限したり、販売時の商品の状態を指定したりすることがありますが、独占禁止法の抵触に関する検討が必要になります

(業務委託)

・業務委託契約において共通する実務的な指摘事項

業務委託契約は、多くの取引類型に関して使用されており、法的には請負または(準)委任に分類されますが、肝心の委託業務内容が曖昧に記載されていることが多い等、実務的な指摘事項は共通することも多いです

例えば、以下になります

契約内容と取引内容の整合性、業務内容の特定、中途解約の可否、

再委託の可否、業者の競業避止義務の有無、顧客の誠実協力義務の有無、

成果物の知的財産権の帰属、実費別途請求、営業秘密保護、個人情報保護、

業者の損害賠償責任の限定 等

・会社と他社(例えば、士業)との提携の可否

新規事業として、会社が他者と提携することについて、ご相談をお受けすることが時々あります(例えば、士業の法的独占業務とされる業務について、顧客が会社へ委託したうえで、会社が士業へ再委託するというものです)

ご相談の例では、会社は広告宣伝集客等の営業を担当して、士業は受託業務の遂行を担当するという役割分担があり、一見すると合理的なようにも思えます

しかしながら、主な文系士業(弁護士、司法書士、税理士、社労士等)は、一般企業と提携することを、法令(弁護士法等)で禁止されています

会社が士業と提携したい場合には、士業の法的独占業務とされる業務とそれ以外を切り分けたうえで、顧客の自由意思の下、顧客が、前者を士業へ、後者を会社へ、それぞれ委託することになります(それでも違法とされる場合がある点に注意)

(その他いろいろ)

・不動産(売買、賃貸、管理)に関する契約書のチェックやご相談

競売物件購入後のサブリース業者への対応、建物解体業者の不始末の対処、

賃貸物件退去後の退去者への原状回復請求、管理物件の居住者間トラブル、

賃貸物件の目的外利用の対処、建物老朽化による立ち退きの対処 等

・ITに関する契約書のチェックやご相談

・知的財産権、広告表示、個人情報、暴排条項、倒産、プライベート関係等

紙面の都合がありここでは紹介しきれませんでしたが、日頃より様々な相談をお受けしておりますので、相談しようか迷われたときには、まずはお電話やメール等で、お気軽にご連絡、ご相談ください

法律相談予約専用 TEL 070-5483-9947

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